朝夕、肌寒さを感じる頃になりますと、夏の間はシャワーで済ませていた方も入浴が楽しみになることでしょう。
わたしたちは、何気なく肌呼吸といいますが、本来、皮膚は人体の保護や汗や皮脂の排出が主なはたらきで、両生類のように肌そのもので呼吸をしているわけではありません。しかし、入浴などで一定時間水が直接触れる状態に置かれることで、イオンや電子の受け取りなど呼吸に近い反応がおこり、肺呼吸99%に対して1%くらいの影響を受けていると考えられています。
そして、このスイッチがONになるまでの時間が7・8分、つまり、最低でも10分以上の入浴時間がなければ、いくら良質な温泉に入ろうとも単なる水浴びに終わってしまいます。これが、ぬるめのお風呂にゆっくり、といわれる理由の1つです。
特に、肌が弱い方や皮膚疾患をお持ちの方は、お風呂やシャワーの水質には敏感な方が多いでしょうから、カルキ(塩素)を気にする方も多く、最近ではビタミンCや炭酸を使った入浴法やシャワーの性能に注目が集まったりしているようです。
寒い季節になりますと、バスタイムは癒しの効果が大きく、外出で冷えたからだを温める効果はとてもありがたいものです。この時、天然の荒塩や岩塩などを少量バスタブに入れることによって、入浴剤に劣らない効果があることをご存じの方も多いことでしょう。塩は、アルカリ性が強い食品ですから、お湯に溶けることで、水質(pH)を調整する効果があり理にかなった方法といえます。
もともと、生命は古代の海から生まれましたし、体液と同じ生理的食塩水は0.9%であることからも、塩もまた、切っても切り離せない物質であるわけですね。
また、体温より少し高い、38~39℃程度のややぬるめの湯船に15~30分くらい浸かることで、副交感神経が優位になり、血管が広がりますから、温度にも気を配っていただきたいものです。
お子様やお年寄りなど、体温調節のはたらきが弱い方の入浴前後の水分補給にもぜひご留意ください。
漢方・陳皮(ちんぴ)=みかんの皮を入浴剤に
みかんの皮には、リラックス効果をもたらす芳香性のリモネン、テルピネンなどの精油成分とともに、血行促進作用のあるヘスペリジンなどの有効成分も含まれています。
温州みかんの皮を天日乾燥したものが漢方で使われる「陳皮」です。
身近な食材ですから、日ごろは気にとめない場合が多いでしょうが、美味しく食べた後に再利用できるなんて嬉しいことですよね。
今年の冬は、みかんの皮をよく洗って、日当たりのいい窓辺で乾燥してみませんか。