最近、巷に化粧品や健康食品などの広告で「安全、安心」というキャッチコピーが目立ちます。この考え方は素晴らしいことですし、ぜひそのようなものを各メーカーさんには研究開発していただき、消費者が安心して手にする製品でいっぱいにしていただきたいものです。
さて、化粧品や食品業界の常識トークに「食品素材だから安全」、「天然由来だから安全」、というトークは実は通用しないということはご存知でしょうか?
最近の記憶に新しい話では、食品にも広く用いられている小麦由来の成分を配合した石鹸で、呼吸困難を伴うような危険性の高い全身性アレルギーの被害情報が報道されました。それまでは化粧品はお肌に限定して使用する目的のものですので、せいぜい塗布した箇所に限定しておきるものであり、また化粧品は安全性が高いとみなされた原料のみで製造されたもののはず・・・という前提で、少なくとも口に入れるものよりも安全性が高いと若干は軽く見られていましたが、今回の事例は全く新しいパターンでした。
ただ、今回の事例で私が心配になったことがあります。それは、テレビや新聞などの公共性の高いメディアで繰り返し報道があったにもかかわらず、消費者の中にはその意味が分からず、依然その「問題の製品」を使用している消費者が多数みられたことです。情報の伝え方や内容をわかりやすくする努力もメディア側で必要かもしれませんが、消費者側のほうもあまり聞いていない、聞いても意味を理解できない、あるいはなんとなく理解できても中途半端な口コミ情報か何かに基づき、「まさか、自分は関係ないだろう」と勝手に安心してしまう、というようなこともあったようです。
情報としては、都合の良い「効果・効能」を暗示した「売りトーク」の方が、私もそうですが、確かに惹かれます。しかし、きちんとマイナス情報にも気を配りましょう。また、情報内容だけでなく、その情報の出所を確認して、大学、学会、官庁、都道府県の機関のHPなどから出されている情報は信頼性が高いと考えられます。それ以外の巷にあふれるインターネット上の情報、たとえば「医学博士の**先生のコメント」や「口コミ情報」には間違いが多々あります。また一般向けに出されている市販の書籍やバラエティー番組などのテレビの情報にも間違いが多いと考えましょう。学会発表であっても、その内容は第三者が評価していない場合が多く、信頼性には注意が必要です。一方、査読者のいる学術論文であればそれなりに信頼できるでしょう。
(このコラムの続きは、第2回目でご紹介します。お楽しみに!)