さて、「食品素材だから安全」・・・?という疑問を先程述べたままでした。
「食品素材だから・・・」というと、とても信頼できそうなキャッチコピーに感じますが、専門家が考える正しい考え方とは、「絶対安全な食品はない。しかし、安全な食べ方(摂取方法)はある。」なのです。
たとえば、身近な例で考えるとわかりやすいと思いますが、(食品とは若干違うかもしれませんが)私たちの生命の維持に欠かせない「水」ではいかがでしょう?
1日かけて、様々な方法で少しずつ摂り入れれば、1~2リットルくらい必要という研究者もいますが、一度に過剰量の水分摂取は極めて危険です。
これは、人間の腎臓が持つ最大の利尿速度が1分間に16ml程度であり、これを超える速度で水分を摂取すると処理速度が追い付かず体内の水分過剰で細胞が膨張し、低ナトリウム血症を引き起こし、場合によっては死に至る場合も報告されています。
もちろん、天然由来の「天然水」でも結果は同じです。
また、食品のなかでは、私たちが不足がちとされるミネラルの代表格、カルシウムだとわかりやすいですね。最近は天然由来のカルシウムと謳った製品も多くみられますが、カルシウムは私たちにとって大切な必須ミネラルです。
厚生労働省により公表されている各年齢別の食事摂取基準(日本人の食事摂取基準2010年版)では1日当たりのカルシウム摂取基準が20歳前後の男性で800㎎、同じく女性で650㎎とされます。
ところが、国民健康・栄養調査(2009年版)によると、通常の食品から男性は平均515mg、女性は平均497mg摂取していて、栄養補助食品・強化食品から、男性は平均5mg、女性は平均8mg摂取していますが、男女とも推奨量を充たしていません。
長期に渡ってカルシウムが不足するとご存じのとおり骨粗鬆症などを引き起こしますし、カルシウム不足による欠乏症としては高血圧、動脈硬化、認知障害、そのほか軟骨の変性や変形性関節症など、多くの疾病を引き起こす可能性も報告されていて、さらに極度に不足すると、痙攣までおこることがあるのです。
一方、そのように身体にとても大切なミネラルであるカルシウムは健康な人が「通常の食事」からカルシウムを少々多く摂取しても健康障害にまで発展することは稀のようですが、通常の食事と違う、極度に濃縮した原料をもとに製造した加工食品(栄養補助食品・栄養強化食品)では過剰摂取が起きやすく、十分に気を付ける必要があります。
たとえば泌尿器系の結石あるいは他のミネラルの吸収抑制などが起こることが知られています。
※第3回へつづく